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味方がいない

更新日:2023年5月19日



ふたたび訪れたミモザの季節。

家のミモザは今年も花を咲かせてくれました。

ST水野です。

 

 

ある神経難病の利用者さん。

病気が進行してきて、ふらつきが多くなり、転倒が増えています。

 

立ち上がりや歩行中、どこかにつかまっていればいいのですが、つかまらずに立ち上がったり、身体の向きを変えたり、物を持ったまま歩いたりするときに転んでしまうようです。

「つかまって立たなあかん」とご家族が注意しても、つかまらずに立ちあがってしまいます。

 

ご本人は病気の影響もあってか、衝動性が高く、練習中「ちょっと座って休みましょう」と声をかけていても、自分のペースで急に立ち上がるなど、動きたいと思った瞬間に動き始めているように見えます。

 

ある日、訪問すると、利用者さんの鼻にすり傷、額に打撲痕がありました。

「さっきね、玄関先で転んだんですよ」

奥様が言われました。

 

大きな音がして驚いて奥様が外に出ると、利用者さんが表でひっくり返っていた。

ぽかぽか暖かい日だったので、利用者さんは玄関先の椅子に座って、ひなたぼっこしていたよう。

そこからさらに動き出そうとして転んだと状況から推測されました。

 

「ひとりで何もせんといて、呼んでと言っているのに、本当に聞かない」

奥様のことばに利用者さんはうつむいていました。

 

利用者さんに転んだときのことを聞いても「覚えてない」

何をしようとして転んだかも「覚えていない」

 

ご本人の何かをしたい気持ちは奪いたくない。

安全に動いてほしい(ひとりで動かないでほしい)。

この両立は難しい。

今回は大事にいたらず済みましたが、今後このようなことは増えていきそうに感じます。

 

 

ご家族の関わり方を1年近く見ていて、感じたことがあります。

 

今まで利用者さんに注意するのは奥様で、娘さんが「お母さんそんな言い方しなくても」と利用者さんをかばっていました。

それが、あるときから娘さんも奥様側に立って、利用者さんを注意するようになったのです。

きっかけは、奥様不在のときに、娘さんが一人で利用者さんを見守り介助したことのようでした。

お母さんが主で、娘さんが補助のときには感じなかった危うさを娘さんが感じる機会になったのかもしれません。

最近転倒が増えて危険な場面が多くなっているのも理由だとは思いますが。

 

利用者さんは両者から責められるような形になり、家族に味方がいなくなってしまいました。

 

今日は天気がよかったから何かしたかったんですよね。

利用者さんのお気持ちはわかります。

でもご家族が心配しているのはわかりますね。

 

そんなことばをかけるのが私の精いっぱいでした。

 

利用者さんを思えばこそ、強く言ってしまうご家族の立場は理解できます。

でも少なくとも私は利用者さんの味方でいたいなと思うのです。

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