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55歳から生きなおして65歳になった

更新日:2023年5月19日




佐賀県で食べたイカ、透き通っていました。

コリコリでした。

ST水野です。


以前に担当していた失語症の利用者さんにデイで久しぶりにお会いしました。

私の名前は覚えていないようでしたが(担当当時からあやしかったです)、顔は覚えていて、声をかけてくださいました。


たしかこの方のことをブログに書いたことがあったはずと探してみたらありました。


この記事の時点で発症から3年、それから7年が経ち、現在10年。

発症して10年のこと、ホットパック中にお話を聞かせていただきました。


デイに通い始めた当初のことをたずねてみました。

「あの頃は、頭がぼーっとしていた、頭の病気のせいもあったやろうけど、トイレが近くて1~2時間おきに起きていたから寝不足だったこともある」


当時を思い返すと、利用者さんはどんよりと重い空気をまとっており、あくびが多くいつも眠そうな様子。

目を合わせてくれない、話しかけても「わからん」「おぼえてへん」の答えが多く、会話が続きませんでした。

突然死の可能性がある持病を持っておられ、お一人暮らし。

気持ちの浮き沈みも大きく、「助からなければよかった、あのまま逝っていれば…」などの発言もあり、毎週無事にデイでお会いできて、ほっとできるような日々でした。


その頃と比べて今はどうですか?と聞きました。

「今は頭がすっきりしていて、何を聞かれても答えられる」

「あんときは10~20しか話せなかった、今は70~80は話せていると思う」

「今は夜もトイレが4~5時間もつから、眠れるようになった」

「歩くことは続けている、だいぶ痩せたやろ?」


よく歩いてますね、眠れるようになってよかった!

そして、言語機能、とてもよくなっています。

問いへの反応速度が短縮し、自分の表現ができています。

時折「何やっけ?」と喚語困難はありましたが、推測の範囲内。

テンポのいいやりとりです。


利用者さんが話されました。

「55歳でいっぺん死んだから、そのあとはおまけみたいなもん」

「ほんでも65歳になったんやわ」

「何がやりたいとか、せなあかんとか、そういったもんが一切無くなった」

「心につっかかりがないねん、ストレスが無くなったってことかな」


これからどうしていきたいですかと質問すると、

「80歳まではこのまま生きたいかな」

「あのとき死ななくてよかったと今は思えるようになった」

発症後の様子からは考えられないことですね。

10年前の利用者さんに聞かせたい。

脳卒中後の身体やことばの状態をなかなか受け入れられない方にも届いてほしいことばだなと思いました。


利用者さんの努力と10年という月日が、利用者さんをここまで変えました。


「言語リハビリ今でもやってるからな。やめられへんねん」

「でも考えてんねん。いつまで来たらええんかなって」

利用者さんの頭にはデイの卒業もあるようですよ。

応援してます。


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