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失語症の内観

母が取り寄せて送ってくれる「甘平(かんぺい)」が今年も届きました。

名前の通り、とても甘いので、家族3人で分け合い、1日1個がちょうどよいです。

ST水野です。

 

新規で訪問開始した感覚性失語症の利用者さん。

発症から半年以内、年齢は若く、失語症以外の高次脳機能障害はなし、練習へ意欲は十分です。

 

ご家族に「見学させてもらっていいですか?」と言われたので、もちろんいいですよと答えました。

利用者さんが言えるか言えないかギリギリの場面では、ご家族が息を止めて見つめています。

どうにか言えると、「ふうー」と大きく息を吐くご家族。

ご家族も真剣、期待が高いのがわかります。

 

少し難しい課題で利用者さんの反応が不正確だとご家族がクスッと笑います。

利用者さんは「わらいなや。ここ(頭を指さす)ではわかってんねんで。『しつご』やから」

自らが失語症であることを説明できることに感心しました。

 

利用者さんはこちらの話を聴くとき、耳に手を当てて、集中して聴いています。

一度でわからないと「もう一度」と求めます。

なぜ一度で理解することが難しいのか。

「(親指とひとさし指を3㎝ほど離して)これくらいやったらええねん。(10㎝ほど離して)これくらいになるとな、この辺(最初の部分)はいいけどこの辺(最後の部分)になったらもうここ(最初の部分)は忘れてんねん」

単語や短いフレーズはわかるが、長い文では最後になると最初を忘れてしまうと説明されました。

聴覚的把持力(耳から入った情報を一時的に頭に留めておく力)が低下していることを自覚されているのだとわかります。

 

話していて「あれ、ちゃうな」と自分の発語の誤りに気付けることがまだ少ないですが、あります。

会話相手の反応を見て気付くのではなく、自分で聴いて気づけるようになってきていると感じます。

こちらが聴き返すと、慎重に言い直して、そのときが最も自発語が聴けている様子。

 

また「漢字はええんやけど、これな(ひらがなを指す)こうなるとあかんわ」

ひらがなが続くと、理解できない、音読しづらいことを教えてくださいました。

 

発症当初は、ご家族の名前も言えなかったそう。

書いた名前を指さして、「これがだれかはわかってんねん。顔もわかる。でもゆわれへんかってん」。

 

自らが経験している失語症を、現在の話す力を最大限に使って、伝えて下さり、とても興味深いです。

症状が毎週変化している時期です、今後も追っていきたいと思います。

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