私が輝いていた頃
- info8276777
- 2023年10月21日
- 読了時間: 2分

図書館の新刊コーナーで見かけて借りました。
ライターとして活躍されていた、清水ちなみさんが重度の失語症になりました。
ご本人の努力と元々高かった言語センスで奇跡的に回復され、この本を書かれています。
本のなかで近所の病院のSTを「この人とは合わない」と感じて、別のクリニックを探すところがリアルでいいぞと思いました。
ST水野です。
摂食嚥下障害の利用者さん。
様々な既往症がおありです。
大きな病気をされてから食べにくくなり、体重が減ってしまいました。
話を聞いていると、食べにくくなって体重が減った、体重が急激に減って食べにくくなった、どちらもあてはまりそうです。
病後、声がかすれて、大きな声が出なくなったとも言われていました。
練習を始めて、半年以上が経過し、飲み込みにくさに大きな変化はなく食べられるものを食べられるだけ食べている状態ですが、少なくとも声は出しやすくなったと言われています。
あるとき、利用者さんのお仕事の話になりました。
定年退職してから、長い年月が経っています。
入社して40年以上、同じ会社に勤め、様々なプロジェクトに関わったとのこと。
具体的に、いつ、どこで、どのようなプロジェクトに関わったのか、どんな苦労があったのか、それが私たちの生活にどのように影響してくるのかをうかがいました。
景気のよい時期は選抜者として、給料をいただきながら学校に通わせてもらい、より高度な勉強をしたそうです。
利用者さんは専門的な内容を素人にもわかるようにかみ砕いて、伝えて下さいました。
興味深い内容で、疑問がわき、質問をするとさらに深まった内容の返答が返ってくる。
熱のこもった話ぶりに職業人としての誇りを感じました。
形に残らない自分の仕事とは違い、利用者さんのお仕事は何十年も形に残るもの。
うらやましいなあと思いました。
隣で聞いていた、ご家族は「私もそんな話聞いたことなかった」と驚かれていました。
現役中は仕事漬け、ご家族に話す機会はあまりなかったとのこと。
気付くと利用者さんは長く、話し続けていました。
声のかすれはなく、声量の低下もなし。
疲労度をたずねても「全然」と利用者さんはむしろやや高揚した様子に見えました。
「30分話せる耐久力がつきましたね」
残り時間は、いつものメニューから優先度の高い練習を抜粋して実施。
発声練習では通常以上に、気合いが入り、お腹からの発声ができていました。
「今はこんな風になっちゃったけどね、私にも若い頃が、輝いていた頃があったのよ、あなたのようにね」
別の利用者さんのことばです。
大事なことを思い出させてくださり、ありがとうございます。
広報室いとうです
まさにエンパワメントアプローチとナラティブアプローチの合わせ技的なかかわりですね。お二人とも話しに没頭しておられる様子が伝わってきました!